老年H 2013年9月号


 

老 年 H


 

猛暑を越して激暑となった夏休みですが、子どもたちは「五つの約束」を守って成長の「とき」になったことでしょう。絵日記が楽しみです。

私は夏休み直後、南三陸をめぐり語り部を通して校舎は流されても全児童を救った教職員の処置に感動しました。その後、瀬戸内を中心に過ごし香川県直島の地中美術館を訪れました。安藤忠雄設計により島の美観を損なわず地下、太陽光を採り入れた空間でのモネ、現代作家の静謐を味わいました。そして締めは札幌から憧れの「カシオペア」で1200キロを揺られながら帰京しました。

遊びの合間に8月11日夜、野坂昭如原作の「火垂(ほたる)墓」、翌日、銀座妹尾河童自伝小説映画化「少年H」を見ました。両者の登場人物は私同様終戦時中学3年生15歳、彼らは神戸一中、二中生、私は和歌山中学へ疎開による転入生という共通の境遇で終戦前後を迎えています。(Hの著者、昭和史の作家半藤一利は私と同年齢です)

食糧不足というより欠乏のなかでの毎日、空襲に遭い焼跡をさ迷う。バンザイで送り出される息子を見送る母の悲しみの姿にも接しました。「ひとこと多い」ためにたたかれるH少年。そこには私たちの素朴な「なぜ?」があり、それを大人が無理に打ち消したい気運がみなぎる戦時体制下であったのです。

時折ありつける白飯。栄養失調で生きるか死ぬかの限界状況にあって隣人、縁者と分け合うか、家族だけでと迫られる光景。現在、「きずな」、「共に歩む」がテーマになっていますが果たして緊急時に生かせるでしょうか。

お誕生日会でお弁当で好きな食べ物の中で「ごはん」を挙げる子どもがいます。「白いご飯」こそ一番であったことを今も思います。この子どもたちが戦場へ駆り出されたり、火垂の少年のように駅頭で餓死するようなことは絶対にあってはなりません。戦後68年を生かされた実感です。

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