鬼の言い分 2014年2月号

鬼の言い分

 

我ら鬼にとって受難の季節が巡ってきた。

 つい一か月前、赤い服に身を包みそりに乗って颯爽と幼稚園を訪ねたものだ。遅刻にもかかわらず子どもたちに歓迎された。お目当てはプレセントにあるのは分かっているが、待たれていたことと贈る喜びを感じたものだ。

それがどうだ。同じ赤い服に身を包み重い金棒を持ち徒歩で幼稚園を訪ねたところ、はじめから「鬼は外」との豆つぶて。まさに鬼やらいである

我らの目的は「悪い子どもはいないのか。いないよね」と尋ねるのだったが問答無用。残念だった。                         

聖書にもこんな場面があった。イエス様はみんなに平和に生きるようにと願ったのに、人々は十字架に付けろと大合唱。しかしイエスさまは心優しいから「どうぞこの人たちをお赦しください。何をしているのか分からないからです」と神様にお祈りした。

私はイエス様ではないので、みんなに鬼の言い分を聞いてほしいのだ。

桃太郎の鬼退治。犬、猿、きじが桃太郎に「お腰につけたきび団子、一つ私にくださいな」とのお願いに「あげましょう、あげましょう」と言いながら彼は「家来になるなら」と条件を付けた。悪者とされている鬼征伐に行く正義の大将にしては度量が小さい。なぜ条件を付けるのか。鬼より劣る。

鬼は悪の代表とされるが、実は「鬼の目にも涙」本来はやさしいのだ。その代表に「ないた あかおに」(浜田廣介・文)があるのをご存じか。

若く気持ちの優しい赤鬼が人間と行ったり来たりできるならどんなにいいかと思った。そこで住まいの戸口に「遊びにおいで」と立札を掛けた。人間は鬼の心を疑って寄りつかない。折角の気持ちが伝わらないので青鬼に相談。青鬼はわざと悪役を演じるからそこに君が登場し、本気で殴ってくれと。この芝居以来赤鬼と人間は仲良しになった。が、青鬼は姿を消し空き家に置手紙。そこには君と僕が行ったり来たりしていては人間たちは落ち着かない。だから僕は遠くに旅立つと。青鬼の深い友情。泣く赤鬼の涙。

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